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山村修『増補・遅読のすすめ』(ちくま文庫) 読書は速度か? 読書は分量か? ゆっくりでなければ得られない「効能」が読書にはある。本を読むこと本来の「快」を取り戻すための、反速読〉・反〈多読〉術。「読むリズムが快くきざまれているとき、それは読み手の心身のリズムと幸福に呼応しあっている。読書とは、本と心身とのアンサンブルなのだ。」文庫化にあたり、単行本未収録エッセイを大幅増補。(「BOOK」データベースより) ◎お世話になった狐の書評 私が35歳の現役ばりばりのころ、毎週水曜日にタブロイド版夕刊紙「日刊ゲンダイ」を買い求めていました。お目当ては、「狐」が執筆している書評でした。当時製薬会社の営業マン(MR)として、大学病院や市立病院を訪問していました。医師の多くは読書家で、私は雑誌や新聞に掲載されている書評を、自分なりにまとめて提供していました。いまでは医師にたいする便益供応として、問題視されるサービスかもしれません。 「狐」は匿名の書評家で、正体はあきらかにされていませんでした。「日刊ゲンダイ」の書評は1981年に開始され、1188回もつづけられました。ちょっぴり硬派の本が、とりあげられていました。 「狐」の正体を知ったのは、2006年に発行された山村修『〈狐〉が選んだ入門書』(ちくま新書)でした。狐こと山村修が、亡くなる直前での公開でした。私は山村修という著者が、「狐」のことをとりあげているのだとばかり思って買い求めました。最後のページ「私と〈狐〉と読書生活と――あとがきにかえて」を読んで、おどろきました。 ――「日刊ゲンダイ」での毎週の連載は、二〇〇三年七月末、二十二年半で終了しました。毎回、深更におよんで、なんとか原稿を書きおえたあと、その末尾に〈狐〉と記すときのえもいわれぬ解放感はわすれられません(山村修『〈狐〉が選んだ入門書』(ちくま新書) 〈狐〉はずっとサラリーマンでした。本を読み、800字の原稿と闘う毎日をつづけました。頭がさがります。 山村修の死を知ってから、手にした本は山村修『書評家〈狐〉の読書遺産』(文春新書)でした。巻末に中野翠は、「さようなら〈狐〉」という文章を寄せています。山村修からの手紙で、自分は遠縁にあたることを知ったというエピソードにそえて、思わず目頭が熱くなる弔辞が捧げられていました、 ――山村修さんは幸せな五十六年を生きたと思う。たくさんの書物をはじめ、愛するものを、そして自分のいのちを、誰よりも深く味わって生きたのだから。さようなら<狐>。私はもうしばらくこの世に残って、〈狐〉好みの青空を探す。(『文学界』二〇〇六年十月号) ◎山村修VS福田和也 山村修は1冊の本を、「1ページ1秒、ちょっと遅くても2、3秒」という読書を完全否定しています。これを実践していると豪語する2人の評論家を、冒頭でばっさりと切り捨ててみせます。福田和也『ひと月百冊読み三百枚書く私の方法』(PHP文庫)や立花隆『僕が読んだ面白い本・ダメな本 そして僕の大量読書術・驚異の速読術』(文春文庫)にたいして、眉に大量の唾をつけて笑いとばしてみせます。 そのうえで「遅読」の価値を、こんこんと説いてみせます。速読では絶対になしえない発見が、遅読では可能です。 フローベール『ボヴァリー夫人』(新潮文庫)の終りのほうに、つぎのような文章があります。この箇所は「山本藤光の文庫で読む500+α」の、フローベール『ボヴァリー夫人』(新潮文庫)でも披露しています。 以前に愛しあっていたエマ(ボヴァリー夫人)とレオンは再会をはたし、辻馬車に乗りこみます。馭者に命じてひたすら馬車を走らせつづけます、馬車の窓かけはおろされ、平坦な道でも馬車は激しく揺れます。 ――馬車の古ぼけた銀の側灯に陽の光が照りつけていたころ、野原のまんなかで、小さな黄色の窓掛けの下から、手袋をはめない手が一つでてひきちぎった紙きれを投げた。それは風に散って、その向こうに今を盛りと咲いているレッドクローバーの畑へ、白い蝶のように舞い降りた、(新潮文庫P337) 山村修は3度目の遅読で、この文章のなかのある単語に目をとめました。もちろん私は、まったく気づかずに本を読み終えています。山村修が目をとめたのは、引用文のなかの「紙きれ」という単語でした。この単語に山村修は、官能のニュアンスを感じとったのです。まさに指摘のとおりでした。じっくりと読み直してみると、「紙きれ」がなんであるのかが、くっきりと浮かびあがってきました。 サラリーマン生活をしながら、毎週「日刊ゲンダイ」に書評を連載していた山村修。さぞかし大量の本を読んでいたのだろうと思っていました。しかし彼のつぎの文章を読んで、安堵しました。 ――月曜日の朝、新しい本を開く。通勤電車のなかである。/新しい本は月曜日の朝にこそふさわしい。本のなかにはあたらしい人間たちがいて、あたらしい風景がある。これまで知らなかった関係性の世界がある。その一冊は、帰りの電車のなかでも読み、帰宅してからは自室で読み、そして週末までに読みおえる。つまり私の読書は週単位である。一週間に一冊、したがって月に四冊から五冊ということになる。(本文P109より) 福田和也に『作家の値うち』『作家の値うちの使い方』(ともに飛鳥新社)という著作があります。代表的な作家の作品を、100点満点で評価をしています。評価基準はつぎのとおりです。 90点以上:世界文学の水準で読み得る作品80点以上:近代日本文学史の歴史に銘記されるべき作品70点以上:現在の文学として優れた作品60点以上:再読に値する作品50点以上:読む価値がある作品40点以上:何とか小説になっている作品39点以下:人に読ませる水準に達していない作品29点以下:人前で読むと恥ずかしい作品、もしも読んでいたら秘密にした方がいい 私が「山本藤光の文庫で読む500+α」でとりあげている作品の評価をならべてみます。数字は福田和也がつけた点数です。 93小島信夫『抱擁家族』91河野多恵子『後日の話』82大江健三郎『万延元年のフットボール』80宮部みゆき『火車』79東野圭吾『秘密』75北村薫『スキップ』70山崎豊子『白い巨塔』69桐野夏生『顔に降りかかる雨』66天童荒太『永遠の仔』66丸山健二『夏の流れ』58新保裕一『ホワイトアウト』51浅田次郎『鉄道員』51小池真理子『恋』50花村萬月『ゲルマニウムの夜』32井上ひさし『吉里吉里人』29藤原伊織『テロリストのパラソル』 私は藤原伊織『テロリストのパラソル』を高く評価しています。福田和也は「1ページ1秒、ちょっと遅くても2、3秒」の読書で、「人前で読むと恥ずかしい作品、もしも読んでいたら秘
密にした方がいい」と評価しています。 ちなみに最高点96点を獲得したのは、古井由吉『仮往生伝試文』、村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』、石原慎太郎『わが人生時の時』でした。最低点(20点以下)は、7件のすべてが船戸与一作品で(『蝦夷地別件』など)でした。 私は本書を読んで、思わず破り捨てたくなりました。あまりにも独善的すぎるのです。そんな背景がありましたので、山村修『増補・遅読のすすめ』(ちくま文庫)を読んだときに、拍手喝采しました。「1ページ1秒、ちょっと遅くても2、3秒」の福田和也の評価は、無視すべきものだと得心したわけです。「遅読」の応援歌を1つ紹介させていただきます。 ――速読法の目的は、不要な本を早めにとりのけて、ゆっくり読むべき本を発見することにあるのであって、読書の根本は、「遅読」にある。(花村太郎『知的トレーニングの技術』ちくま学芸文庫) 本はじっくりと、楽しみながら読むべきものです。山村修の書評は、けっして過激にはなりません。それはじっくりと著者と同道する、読書法から生まれたものです。「狐」こと山村修は、偉大な読書のナビゲーターでした。(山本藤光:2014.10.25初校、2017.12.02改稿)
気になる速読術をチェックしよう
こんにちは!
バイリンガルを駆使し人生を変えたイーサンです!
今回Aさんからメッセージをいただきました。そのお悩みについてお答えしたいと思います。
内容は『はじめまして。いつもイーサンさんのブログを見て参考にさせていただいています。
「英語を話すのが難しいと思うあなたを私が必ず変えてみせましょう」の記事を読んでから
英語大嫌いでしたが少しずつ好きになれた気がします。
今回悩みがあり連絡させていただきました。
大学の授業でもTOEICのテストでもどうもリーディングが苦手で…
そもそも読むスピードが遅く時間に間に合いません。
何かコツなどありましたらお教えいただきたいです。
よろしくお願いいたします。』
お便りありがとうございます。
私は英語が話せればそれでいいというスタンスなので
あまりリーディングは気にするなという感じでブログを書いて来ましたが
TOEICの点数を上げたい!と思うとどうしても必要ですね。
私もリーディングは苦戦しました。
ここだけの話リーディングセクションのスコアは170点でした…笑
今じゃそんな点数取る方が難しいですね笑
しかし、今回お話しする事を続けた結果
2ヶ月で初めて400点近く取ることが出来ました!
私で実証済みです。
あなたも必ず出来るはずです。
他の人とは全く違う速読法なので他の速読法に左右されず根気強く続けてください
まずリーディングが出来ないという人の特徴として
「英文を読む量が少なすぎる」人が大体です。
読む時間なんかないよ!!
そうですよね。部活、サークル、バイト、大学の授業…
朝から仕事で帰ったらもう寝るだけ…
たまの休日ぐらい遊びたい、ゆっくりしたい。
そんな時間のないあなたに教えたい。
1日わずか5分で
英文を読むスピードが
圧倒的に早くなる方法!!
この方法を知らないと
・「時間がない」を理由にして 結局やらない。・ がんばって読んだとしても イライラする。・ モチベーションが下がってしまう。
もちろんTOEICで高得点なんて夢のまた夢
あなたの人生は変わらず。夢は夢のまま終わるでしょう。
では、その方法をお教えします。
『英文を音読をする』
ここまで来てそんなことかよと思った方
ではあなたは実際にやり続けた事ありますか?
あったらこの記事を読んでないはずです。
音読がスムーズに出来たら読むスピードも上がるんです。
音読こそ速読力向上への近道なのです!
黙読じゃダメなのか?ダメなんです。
黙読は目を使います。
音読は目も口も耳も使います。
ということは
音読は黙読より3倍の情報を得る
ことが出来るのです!
音読をしていき慣れてくると分かるのですが。
英語の処理スピードが次第に上がり
英語→日本語で理解するのではなく英語をそのまま理解出来るようになるのです!
頭で和訳せずとも無意識のうちに英語を理解出来るようになってます。
では何を読めばいいか
英語であれば何でも良いです。
英語版の漫画でもいいです。
外国の絵本でもいいです。
興味があり、読み続けられる本を読んでください。
ただ約束してください。
毎日5分だけでいいので毎日必ず読んでください。
最初は10.20ページでいいです。それ以下でもいいです。
下手に100ページとか読もうなんて思わないでください。
心配せずともだんだん読めるようになるので無理せず、出来る範囲で読んでいってください!
では、最後にもう一度
「あなたが興味があり、無理なく読める本を1日5分だけでもいいので音読してください」