いつまでも速読術と思うなよ
速読術の教室では落ちこぼれだったという著者が、独自の方法で年間3000冊の本を読むようになり、そのノウハウを伝授してくれる本。 著者は基本的に、Amazonで本を買うそうですが、3000冊も買えばそのうち2割くらいは失敗するという。 それでも残りの2400冊分の情報を毎年ストックし続ければ、とんでもないことになります。本書では、様々な本からの引用も多く、読書家としての確かな力量を感じることができます。 ◆夢アンテナが大事 著者は、本を読む前に、まず、夢アンテナを整えることが重要だといいます。より具体的な夢や目標、課題意識をもっていればこそ、それに関連したインテリジェンス(情報)が入ってきやすくなるからです。 本書では「どうしても2階にあがりたい奴だけが梯子を思いつくんだ」という松下幸之助さんの言葉を引用されています。 また、夢アンテナが違う方向を向いているのもよくなくて、本当に自分がやりたいことを目指しているかは重要です。 それらの夢アンテナがしっかりしててこそ、読書は意味のあるものになりますし、一見関係のない本を読んでも夢を実現するための「セレンディピティ(予期せぬ幸運)」を得やすくなります。 ◆ビジネスマンにとっての読書の効果 ビジネスマンとして仕事に活かすために読書をする場合は以下の効果が期待できます。これらの効果に魅力を感じる人は読書(特に速読)をするべきであると著者は言います。 ・会議で役立つ知識や情報をインプットできる・知識、情報があると商談で有利に事を運ぶことができる。・膨大な資料やデータを速くチェックできる・報告書、レポートをすばやくチェックできる。・多忙でも本をチェックできる・限られた時間の中で最高の結果を出せる・刺激を受けたり感動したりできる ◆簡単な本は良い本 井上ひさしさんのモットーは「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことをおもしろく」書くこと。 一流の作家はボキャブラリーが豊富で、頭がよいので、良い内容が簡単に書かれていることもあります。 なので簡単な本だからと侮らずに、いろいろな本を読もう。 ◆読書の基本は、浮気と喧嘩 本を読むうえで重要なことは、浮気と喧嘩であると著者は言います。 浮気とは、とことん寄り道しながら読むこと。喧嘩とは、「それはないだろう」「本当にそうだろうか」と反論しながら読むこと。 これらをすることで、発想が広がり、考える力がつきます。 ◆必読の長編小説 本書では、以下の3冊を修行のための必読書と位置付けています。 『徳川家康』『ローマ人の物語』『カラマーゾフの兄弟』 これらの本は登場人物が多いので、飛ばし読みはできないが、時間がない人や頭がこんがらがってしまう人はガイドブックを横において読むとよいそうです。 『ローマ人の物語 スペシャルガイドブック』『漫画版カラマーゾフの兄弟』『徳川家康』 ◆電車内で単行本サイズの本を読みたいとき 電車内で大きな本は邪魔になるし、バッグも重くなる。そこで著者は、読むページだけ切り取って乗り込むのはどうかと提案する。 本を破るという発想は新しいけど、本の価値は本そのものではなく、読んで得られた発想にあるという著者の考えをよく顕している1節です。 近年は電子書籍があるので、そこまでする必要もないのですが。 ◆自己啓発本はディテールが弱い 自己啓発本で「そんなことは言われなくても分かってるよ」と感じるとしたら、その本はディテールが弱いからだ、と著者はいう。 読者が読んで、「確かにそうだ、本当に大切なことだ」、と感じる体験が少ない本は腑に落ちにくくあまり良い本ではない。 その点、『本気論』という本は、迫力があります。もしビジネス書が腑におちないという方は一度読んでみてはいかがでしょうか。 本気論の著者の斎藤さんは、ミュージシャンを目指して挫折し、営業マンとしてビジネスの世界に飛び込み、「ビジネスの世界は、やればやっただけ成果が出る。運や才能に大きく左右されるアーティストとは違う。わたしが生きる道はこちらにある」という悟りを得たといいます。 ーーーーーーーー最後に。 本書は、とにかくたくさん読む中でいかに効率よく知識を吸収するかについて特化した本です。すでに結構本を読むという人や、今はまだそんなに多くは読んでいないけど、これからもっと読んで行こうという人にオススメです。 ーーーーーーーーAmazonで購入インテリジェンス読書術 年3000冊読破する私の方法 (講談社+α新書) ーーーーーーーー楽天で購入インテリジェンス読書術 年3000冊読破する私の方法【電子書籍】[ 中島孝志 ]